「糖尿病」と聞くと、太った中年男性をイメージしがちですが、近年では女性でも糖尿病を発症するケースが多くあります。
2016年に厚生労働省が行った全国調査によると、20歳以上の女性で「糖尿病が強く疑われる者」の割合は「9.3%」という決して無視できない数値になっているのです。
約10人に1人という高い割合で、しかも毎年増加傾向にあります。
若い女性でも決して他人事では無く、むしろ若い女性だからこそ「間違ったダイエット」を繰り返してしまい、糖尿病になってしまうケースも少なくありません。
今回は、若い女性でも糖尿病になってしまう原因と対策について考えていきましょう。
そもそも「糖尿病」とは一体何なのか?
人間は、三大栄養素の1つである「糖質」を食べることで血糖値が上昇します。
血糖値が上昇したままでは、「血管が傷つく」「血管が詰まる」などの悪影響が出てしまうため、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンが血糖値を下げてくれるのです。
つまり、私たちはインスリンのおかげで血糖値を正常に保てています。
しかし、何らかの原因により、この「インスリン」の分泌量が減少したり、十分に作用しなくなってしまうことがあり、その状態が長く続いてしまう病気が「糖尿病」なのです。
糖尿病になることで、体には次のような初期症状が起こるようになります。
これらの初期症状を放置していると、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」などの合併症を引き起こしてしまうかもしれません。
もし、自分に糖尿病の疑いがあるなら、放置せずに近所にある「内科」や「糖尿病内科」で直ぐに診てもらいましょう。
若い女性が糖尿病になってしまう原因とは?
では、若い女性が糖尿病になってしまう原因には何があるのでしょうか?
主な原因について考えていきます。
【その1】糖質の食べ過ぎ
血糖値は、「糖質」という栄養素を食べることで上昇します。
つまり、糖質を食べ過ぎることが引き金となり、結果的にすい臓が疲弊してインスリンの分泌量が減少したり、十分に作用しなくなってしまうことにつながるのです。
すい臓の疲弊を防ぐためにも、血糖値を上げる「糖質」の食べる量を減らすのが良いでしょう。
糖質は、日本人が主食とする「白米」や「めん類」、朝食やオヤツに食べる機会が多い「パン類」や「菓子類」などに多く含まれています。
糖質の食べる機会を減らすことで、すい臓が疲弊してしまうことを防ぐことができるのです。
また、とりすぎた糖質は「体脂肪になりやすい」という特徴があるため、体に余計な脂肪が付いている人にとってはダイエットにもなるでしょう。
ただし、糖質は体にとって重要なエネルギー源なので、減らし過ぎも良くありません。
間違っても糖質の完全カットなどはせずに、糖質は適度にとっていくことが大切です。
【その2】筋肉量の減少
糖尿病が強く疑われる人は、糖質の食べすぎにより太っていることが多いです。
しかし、例外もあります。
それは、「間違ったダイエット」や「無理なダイエット」、「食べないダイエット」などにより、体の筋肉量が大きく減少してしまった人たちです。
たとえ細身の人であっても、筋肉量が大きく減少していれば糖尿病のリスクが高くなります。
なぜなら、筋肉は血中の糖を格納するための倉庫になるからです。
倉庫が小さければ少量の糖しか格納できないため、インスリンが分泌されても血糖値がなかなか下がらずに、すい臓がインスリンを出し続けるフル稼働状態になってしまいます。
結果的に、すい臓が働きすぎで疲弊することになるのです。
また、筋肉に格納できなかった血中の糖は「肝臓」や「脂肪細胞」に体脂肪として蓄えられることになるため、「間違ったダイエット」→「筋肉量の減少」の負のループに陥ってしまうでしょう。
ダイエットを繰り返すほど、どんどん筋肉量が減少していくという最悪の状態になります。
糖尿病を予防するための対策は?
糖尿病を予防するためには、どうすれば良いのでしょうか?
対策について1つずつ考えてみます。
【その1】糖質ばかりを食べない
糖尿病を予防するための最も効果的なのは、血糖値を上昇させる原因である「糖質」ばかりを食べないという方法です。
世の中には「白米」や「菓子パン」、「うどん」や「パスタ」、「果物」や「洋菓子」などの糖質で溢れかえっているため、意識して食事をしなければ、どんどん糖質を食べてしまいます。
これらの糖質をなるべく控えて、別の物を食べるというのが良いでしょう。
糖質をあまり食べなければ、肝臓がフル稼働することも少なくなります。
【その2】筋肉量を減らさない
筋肉量が減少することでも、糖尿病のリスクは高まります。
そして、筋肉量が大きく減少してしまう主な原因となるのは、「間違ったダイエット」であることが多いです。
「なるべく食べないダイエット」や「超低カロリーダイエット」などの極端で間違ったダイエットは避けて、筋肉量を減らさない正しいダイエットを続けていきましょう。
正しいダイエットを続けていくことで、筋肉量の減少を最小限に抑えることができ、体に付いた余計な脂肪だけを落とすことができます。
【その3】時間をかけてゆっくり食べる
食事を短時間で済ませるほど、食後の血糖値が急騰することが分かっています。
つまり、早食いをする人ほど「糖尿病」のリスクが高まると言えるのです。
反対に、時間をかけてゆっくり食べることで、血糖値の上昇が緩やかになるため、結果的にインスリンの分泌量が減り「糖尿病」のリスクは低くなります。
早食いが癖になっている人は、時間をかけてゆっくりと食事をとる習慣を身に付けましょう。
また、時間をかけてゆっくり食べるための方法としては、「落ち着ける場所で食事をとる」「食事の品数を増やす」「噛みごたえのある物を食べる」などの方法が効果的です。
筋肉量を減少させずにダイエットをするための具体的な方法
たとえ細身の若い女性であっても、筋肉量が減少することで糖尿病のリスクが高まります。
そのため、ダイエットをするときは筋肉量を減少さないための工夫が必要です。
次に、なるべく筋肉量を減少させずにダイエットをするための具体的な方法について、私がオススメする方法をいくつかご紹介していきます。
【その1】ダイエットに「筋トレ」を取り入れる
たとえどんなに効果的なダイエット方法を実施したとしても、筋肉量の減少を完全に食い止めることはできません。
なぜなら、脂肪と一緒に一定の筋肉は必ず落ちてしまうからです。
つまり、筋肉量を減少させないためには、ダイエットによる筋肉量の減少をできるだけ抑えることと同時に、減少してしまった筋肉を取り戻すことを別途行っていく必要があります。
そして、筋肉を取り戻すための運動としては、「筋トレ」が最適です。
筋トレを行っていことで、筋肉量を維持しながらダイエットを進めていくことができます。
さらに、今よりも筋肉量を増やすことができれば、「基礎代謝の向上」「疲労の軽減」「スタイルが良くなる」などのメリットまで受け取れるでしょう。
ダイエット方法に関係なく、ダイエットには積極的に筋トレを取り入れるべきです。
とはいえ、ボディビルダーやフィジーカーのような激しい筋トレをする必要はありません。
軽い筋肉痛になる程度の筋トレでも、十分に筋肉量を維持することができます。
【その2】体重では無く体脂肪率を目標にする
ダイエットをするときに「体重」を目標にする人は多いです。
体重はとても分かりやすい指標の1つですが、ダイエットの目標にするのは良くありません。
なぜなら、ダイエットの目標は体に付いた余計な脂肪を落とすことであり、必ずしも「体重が減った=脂肪が落ちた」では無いからです。
例えば、目標の体重になったとしても、減少した物の内訳が「脂肪」では無く「筋肉」がほとんどなら、そのダイエットは失敗だったと言えます。
筋肉が減少すれば、スタイルは崩れてしまい不健康な見た目になってしまうでしょう。さらに基礎代謝が大きく低下することにもなり、ごく短期間でリバウンドする可能性が高いです。
では、一体何を目標とすれば良いのでしょうか?
私がオススメするのは、「体脂肪率」を目標にしてダイエットをしていくことです。
体脂肪率を目標にすることで、純粋に脂肪が減っているかを数値で計測していくことができます。
体脂肪率を計測するためには、「体組成計(たいそせいけい)」の購入が必要ですが、安いものであればわずか数千円から購入することができるでしょう。
参考までに、適正とされている体脂肪率の範囲を記載しておきます。
もし、自分が肥満気味の体型であるなら、まずは適正な体脂肪率を目指しましょう。
また、ほとんどの体組成計では「筋肉量」も計測することが可能です。
つまり、体組成計が1台あれば、体脂肪率を計測するだけでは無く、ダイエットによって筋肉量が減少していないことを確認することにも役立ちます。
【その3】無理なダイエットをしない
短期間で結果を出したいあまりに、「食べないダイエット」や「超低カロリーダイエット」などの無理なダイエットをしてしまう人は多いです。
無理なダイエットで体内のエネルギー不足が続くと、体は筋肉を分解してエネルギーを作り出してしまいます。
つまり、無理なダイエットをすると、必然的に筋肉量が大きく減少するのです。
筋肉の分解を最小限に抑えるためにも、食事から十分な「エネルギー」や「栄養素」をとっていくことが大切だと言えます。
「十分なエネルギーや栄養素をとると太ってしまうのでは?」と心配になるかもしれませんが、反対に基礎代謝や活動代謝が向上して、どんどん「痩せやすい体」になっていく可能性が高いでしょう。
とはいえ、もちろん「食べ過ぎ」や「脂肪が付きやすい物ばかりを食べる」といったことはNGです。
自分の体の調子を見ながら、少しずつ痩せていくというベストな食事を探していきましょう。
ダイエットに時間はかかるかもしれませんが、1日に10gでも脂肪を落とすことができれば、1年で約3.6kgもの脂肪を落とすことができます。
焦らずに、長い時間をかけてダイエットを続けていきましょう。
【その4】低糖質で高タンパク質な食事を心がける
筋肉量を減少させないためには、「食事の見直し」も効果的です。
具体的には、筋肉の材料となる「タンパク質」を多くとりましょう。積極的にタンパク質をとることで、筋肉の減少を最小限にすることができます。
そして、タンパク質を多くとった分だけ、脂肪になりやすい「糖質(炭水化物)」を減らしていくことで、効率よくダイエットを進めることが可能です。
例えば、いつも食べている「白米」や「めん類」の量を半分にして、代わりに「肉」や「魚」などのおかずを1品増やすのはどうでしょうか?
たったそれだけの事でも、大きなダイエット効果が期待できます。
また、糖質に比べるとタンパク質には「ビタミン」や「ミネラル」などの栄養素が含まれている食材が多いため、栄養面でも十分なメリットを得ることが可能です。
低糖質で高タンパク質な食事を心がけて、効率よくダイエットを進めていきましょう。
【その5】十分な睡眠をとる
筋肉の合成を高めるためには、「成長ホルモン」を分泌させることが大切です。
そして、成長ホルモンの分泌量が最も増えるのは、「筋トレ直後」と「睡眠中」で、通常時の約200倍もの成長ホルモンが分泌されると言われています。
つまり、「筋トレをすること」と「十分な睡眠をとること」が、筋肉を維持したり増やしていくためには必要なのです。
また、十分な睡眠をとることで「自律神経」を整えることができるため、日中にしっかりとエネルギーが消費される「痩せやすい体」になることもできます。
ダイエットを成功させるためには、十分な睡眠をとることが必要不可欠だと言えるのです。
どんなに忙しい日々を送っていたとしても、生活の無駄を省いて毎日「7時間」の睡眠時間を確保していきましょう。
ダイエットの秘訣は筋肉量を減少させずに痩せていくこと
「若い女性でも糖尿病になってしまう原因と対策」についてお話してきました。
糖質の食べ過ぎや、無理なダイエットでの筋肉量の減少などにより、たとえ細身の女性であっても「糖尿病」のリスクが高まることになります。
また、筋肉量の減少は、ダイエットをするうえでも大きくマイナスになるでしょう。
うまくダイエットを成功させるためには、筋肉量を減少させずに痩せていくことが大切です。
体の筋肉量を維持しながら、余計な脂肪だけを落とすようなダイエットを続けていきましょう。
まとめ
- 近年では女性でも糖尿病を発症するケースが多くある
- 若い女性が糖尿病になってしまう原因は、「糖質の食べ過ぎ」や「筋肉量の減少」などが考えられる
- 糖尿病を予防するための対策として「糖質ばかりを食べない」「筋肉量を減らさない」「時間をかけてゆっくり食べる」などが効果的
- 筋肉量を減少させずにダイエットをするための具体的な方法には、「ダイエットに筋トレを取り入れる」「体重では無く体脂肪率を目標にする」「無理なダイエットをしない」「低糖質で高タンパク質な食事を心がける」「十分な睡眠をとる」などがある
- うまくダイエットを成功させるためには、筋肉量を減少させずに痩せていくことが大切
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