低カロリーな食事でも太る「モナリザ症候群」とは?対策は?

ヘルシー

低カロリーな食事を心がけているのに、どんどん体が太ってしまうと悩んでいませんか?

「自分は太りやすい体質なんだ」と決めつけてしまうのは早いです。

カロリー摂取が適正なのに太ってしまうという人は、体質の問題ではなく「モナリザ症候群」になっていることが原因かもしれません。

もし、モナリザ症候群になっていることが原因なら、適切な対策をしていくことで「痩せやすい体」にだって変えていくことは可能です。

今回は、「モナリザ症候群」について考えていきましょう。

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体が太りやすくなる「モナリザ症候群」とは何だろう?

1990年に神戸で開催された国際肥満学会で、アメリカのブレイ教授は「肥満者の大多数は交感神経の働きが低下している」という研究結果を発表しました。

このときの英文の頭文字をとったものとして「モナリザ症候群」という言葉ができました。

簡単に言えば、モナリザ症候群とは「交感神経の働きが低下したことによって太ってしまう人」ということになるのです。

実際に、アメリカの肥満男性を調査したところ、カロリーの摂りすぎで肥満になっている男性は、全体の3割程度だったという調査結果が出ています。

残りの7割の肥満男性は、適正カロリーを摂取しているにも関わらず、肥満になっているのです。

つまり、いくら低カロリーな食事を心がけていても、交感神経の働きが低下していれば太ってしまうということになります。

「交感神経」とは何だろう?働きが低下するとなぜ太るの?

疑問

では、交感神経とは一体何なのでしょうか?

結論から言えば、交感神経とは「自律神経」の1つです。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類の神経があり、体外・体内の環境変化によって自動的に切り替わり、必ずどちらかの神経が優位に働いています。

例えば、日中の時間帯は「交感神経」がメインで働き、夕方から朝方までは「副交感神経」がメインで働くという具合です。

交感神経と副交感神経には、それぞれ異なった特徴があります。

「交感神経」の特徴
  • 日中に働く
  • エネルギーを積極的に消費する
  • 体温が上昇して代謝が良くなる
  • 脂肪が燃焼されやすい
「副交感神経」の特徴
  • 夕方から朝方まで働く
  • エネルギーの吸収と蓄積を行う
  • 体温が低下して代謝が悪くなる
  • 脂肪が燃焼されにくい

一言でいえば、交感神経は「エネルギーが消費されやすいモード」、副交感神経は「エネルギーが消費されにくいモード」と切り分けることが可能です。

では、「交感神経の働きが低下している」と一体どういう状態なのでしょうか?

簡単に説明するなら、日中に交感神経ではなく「副交感神経」がメインで働くようになったため、エネルギーを積極的に消費することができなくなった状態のことです。

つまり、モナリザ症候群とは、日中にうまくカロリーを消費できない人のことを指します。

「モナリザ症候群」になってしまう原因と対策を考えよう

モナリザ症候群の疑いがあるなら、原因を把握して適切に対策をしていく必要があるでしょう。

モナリザ症候群になってしまう主な原因は、日常生活の何気ない行動により体のリズムが崩れてしまい、結果的に自律神経そのものが乱れてしまうことにあるのです。

原因と対策について、1つずつ考えていきます。

「モナリザ症候群」になってしまう原因
  • 朝食を抜いている
  • 長時間座りっぱなし
  • 休息をとっていない
  • 呼吸が浅い
  • 大きなストレスを抱えている
  • 睡眠を十分にとっていない
  • 睡眠の質が悪い

朝食を抜いている

「食欲がない」や「時間がない」などの理由により、つい朝食を抜いてしまっている人も多いのではないでしょうか?

もしかすると、摂取カロリーを減らすためにわざと抜いている人もいるかもしれません。

しかし、朝食を抜くことでモナリザ症候群になってしまうことがあります。

なぜなら、睡眠中は自律神経が「副交感神経」に切り替わっており、朝食をとることで自律神経を再び「交感神経」に戻すことができるからです。

きっちりと朝食をとることで、活動を休止していた胃腸が動き出し、徐々に体はエネルギーが消費されやすいモードに切り替わっていくことになります。

ごはん

反対に、朝食をとらなければ体はどうなるのでしょうか?

もし、朝食をとらなければ、自律神経が「副交感神経」になったまま午前中を過ごすことになるため、せっかくのカロリーが消費されて脂肪が燃焼される機会を失うことになります。

さらに、脳も体もうまく活動できないので、午前中は有意義な時間を過ごせないでしょう。

交感神経に戻すこと以外にも、朝食をとることで得られるメリットは多くあります。

朝食をとることで得られる主なメリット
  • 体内時計がリセットされる
  • 午前中の基礎代謝が高まる
  • 集中力が高まる
  • 筋肉の減少を抑えることができる
  • 昼食で体脂肪がつきにくくなる

では、どんな朝食をとれば良いのでしょうか?

理想を言うなら、現代人に不足しがちな「タンパク質」が含まれた朝食がオススメです。

例えば、「目玉焼き」や「スクランブルエッグ」、「高タンパク質なパン」や「ヨーグルト」などが理想的な朝食だと言えます。

タンパク質を多く含む食材
  • 肉類
  • 魚類
  • 大豆製品
  • 鶏卵
  • 乳製品

とはいえ、「そんなの面倒だ」と感じる人も多いと思いますので、まずは「何でも良いので朝食をとる」ということを目標にしましょう。

例えば、「バナナ」や「菓子パン」であれば、用意もしやすくて直ぐに食べることができます。

長時間座りっぱなし

座りっぱなし

デスクワークや勉強などで、長時間座りっぱなしという人も多いのではないでしょうか?

長時間座っていると体が少しずつリラックスすることになり、日中であるにも関わらず「副交感神経」が優位になってしまうのです。

そんなことが続けば、日中に交感神経の働きが大きく低下することになるため、「モナリザ症候群」の原因になりかねません。

一般的には、約30分座り続けていると「副交感神経」が優位になってくると言われています。

日中に長時間座り続ける場合は、30分に一度は体を動かすことで対策していきましょう。

長時間座り続けるなら30分に一度は体を動かそう
  • その場で立ち上がる
  • ストレッチや体操をする
  • 少し歩く
  • 身の回りの掃除をする
  • 子供やペットと遊ぶ

日中はこまめに体を動かすことで、交感神経が優位な状態を維持していくことができます。

また、昼食後などに眠くなってしまうのも「副交感神経」が優位になってきている証拠なので、とにかく眠くなってきたら体を動かすということが大切です。

ただし、反対に夕方以降はリラックスをして副交感神経を優位にしていく必要があるため、むやみに体を動かしたりすることは避けましょう。

休息をとっていない

休息

日中は、仕事や勉強、家事やスポーツなどに集中しすぎていると、体が常に緊張状態になっているため「交感神経」が必要以上に刺激され続けます。

「交感神経が刺激されるなら別に良いのでは?」と思ってしまうかもしれません。

しかし、日中は交感神経が優位であることが理想なだけであり、副交感神経がまったく刺激されないことは好ましくありません。

副交感神経が適度に刺激されなければ、体のリズムが崩れてしまうことになるため、自律神経自体が乱れてしまう原因になります。

自律神経自体が乱れてしまえば、やはり交感神経の働きが低下することになるでしょう。

自律神経を乱さないためにも、適度に休息をとる必要があります。

集中力が無くなってきたタイミングで5分〜10分程度の休息をとることで、副交感神経が適度に刺激されて体のリズムを整えることが可能です。

何事も頑張りすぎずに、適度に休息をとっていきましょう。

呼吸が浅い

現代人は、特に呼吸が浅いと言われています。

呼吸が浅ければリラックスできないため、なかなか副交感神経が刺激されません。

たとえ日中であっても、副交感神経を適度に刺激されなければ、結果的に自律神経が乱れる原因になってしまうでしょう。

自律神経が乱れる以外にも、浅い呼吸には多くのデメリットがあります。

浅い呼吸にはデメリットが多い
  • 内臓の働きが悪くなって代謝が落ちる
  • 血行が悪くなる
  • 疲れやすくなる
  • ストレスを受けやすい
  • 脳が酸欠になって集中力が低下する

浅い呼吸のデメリットを受けないためにも、日常的に深い呼吸を心がけていくべきです。

また、呼吸は意識的に自律神経に働きかけることができる唯一の方法だと言われています。

なるべく深い呼吸をする癖を付けて、自律神経を整える習慣を身に着けましょう。

大きなストレスを抱えている

ストレスには、体を緊張状態にしてしまうという特徴があります。

少しのストレスなら、日常生活にメリハリをつける良い効果を与えることができますが、それが大きなストレスになってしまうと問題です。

大きなストレスは、常に交感神経を刺激し続けてしまいます。

夕方以降の副交感神経を優位にするべきタイミングでも、交感神経が優位な状態が続いてしまうことになり、結果的に寝付きが悪くなったり睡眠の質が下がったりする原因になるでしょう。

脳や体を十分に休ませることができないため、翌日もスムーズに交感神経に切り替えることが難しくなります。

つまり、大きなストレスが「モナリザ症候群」を招いてしまうことになるのです。

適度な運動

ストレスを解消するためには、体を動かすことが効果的だと言えます。

人間や動物は、適度に体を動かすことでストレスが解消されるようにつくられているため、「ウォーキング」や「筋トレ」、「スポーツ」などを行うことで、自然とストレスは解消されていくでしょう。

また、運動をすることで消費カロリーを稼ぐこともできるので、ダイエット中の人にとっては一石二鳥だと言えます。

軽めの運動でもスポーツでもどんなものでも構わないので、何らかの方法で体を動かして適度にストレスを解消していくことが大切です。

睡眠を十分にとっていない

睡眠

睡眠不足が続くことで、自律神経が乱れてしまいます。

また、睡眠不足になることで「ダイエット」や「健康」はもちろん、「筋力」や「美容」のすべてに悪い影響が出ることになるでしょう。

睡眠不足が続くことで受けるデメリット
  • 自律神経が乱れる
  • 代謝が悪くなる
  • 食欲ホルモン「グレリン」の分泌量が増える
  • タンパク質合成が抑制される
  • 肌ツヤが悪くなる(成長ホルモンの減少)

ダイエットに関して言えば、エネルギー代謝が悪くなるため、体脂肪がつきやすくなります。

また、食欲を増加させるホルモンである「グレリン」の分泌量が増えてしまうため、いつもよりも食べすぎてしまったり、間食が我慢できなくなるなどの影響を受けるでしょう。

さらに、筋肉の合成を促す「成長ホルモン」は寝ているときに最も多く分泌されるので、睡眠不足が続くことで成長ホルモンの分泌量が減り、筋肉量がどんどん減少していくかもしれません。

どんなに忙しい毎日でも、睡眠時間は最優先で確保するべきです。

医学的には、7時間の睡眠時間が最も良いとされています。

睡眠の質が悪い

たとえ十分な睡眠時間を確保しても、寝付きが悪かったり夜中に目を覚ましてしまっては、やはり自律神経が乱れてしまいます。

ぐっすりと眠ることができる「質の良い睡眠」をとる必要があります。

質の良い睡眠をとるために、次のような生活を心がけていきましょう。

質の良い睡眠をとるための生活
  • 朝日を浴びる(夜に眠気を誘うメラトニンを分泌させるため)
  • 寝る2時間前までには食事を済ませておく
  • 全身浴をする(リラックス効果)
  • 夜は部屋を暗くしてリラックスする
  • 寝る前にスマホやパソコンを見ない(ブルーライトを見ない)
  • 明日の準備を済ませておく
  • 心配事や気がかりを解決しておく

ポイントとしては、なるべく気分を落ち着けて体をリラックスさせておくことで、寝付きが良くなり朝までぐっすりと眠ることができます。

反対に、気持ちを興奮させてしまったり、体を激しく動かすようなことは、なるべく行わないようにしていきましょう。

どれも簡単にできることばかりなので、すべてのことを習慣化していくべきです。

「自律神経」を整えなければダイエットは成功しない

「モナリザ症候群」になってしまう原因と対策についてお話してきました。

低カロリーな食事をするだけでは、うまく痩せていくことはできません。

食事や運動だけでは無く、意識的に自律神経を整える規則正しく健康的な生活をしていくことで、交感神経の働きを活性化させて「モナリザ症候群」になることを防ぐことができます。

ダイエットを成功させるためにも、規則正しく健康的な生活を心がけましょう。

まとめ

  • カロリー摂取が適正なのに太ってしまうという人は、体質の問題ではなく「モナリザ症候群」になっていることが原因かもしれない
  • モナリザ症候群とは「交感神経の働きが低下したことによって太ってしまう人」のこと
  • 交感神経は「日中に働く」「エネルギーを積極的に消費する」「体温が上昇して代謝が良くなる」「脂肪が燃焼されやすい」などの特徴がある
  • モナリザ症候群になってしまう原因として「朝食を抜いている」「長時間座りっぱなし」「休息をとっていない」「呼吸が浅い」「大きなストレスを抱えている」「睡眠を十分にとっていない」「睡眠の質が悪い」などが考えられる
  • 意識的に自律神経を整える規則正しく健康的な生活をしていくことで、交感神経の働きを活性化させて「モナリザ症候群」になることを防ぐことができる

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