「なるべく食べない」というダイエットは、分かりやすいダイエット方法の1つです。
ダイエットについて何も学ぶ必要は無く「体重が減るまでなるべく食べずに我慢する」というだけなので、誰でも今すぐできるダイエットだと言えます。
しかし、そんな極端なダイエット方法で痩せることができる人は、ほとんど存在しないでしょう。
もし、痩せられたとしても、直ぐに元の体重以上にリバウンドすることになりかねません。
今回は、「なるべく食べないダイエットが失敗する理由」と「どんなダイエットをすれば正しく痩せられるのか?」について考えていきます。
「食べないダイエット」で落ちていくのは体脂肪では無い!
まずは、「えっ?食べないダイエットでも直ぐに体重が落ちていくけどダメなの?」という疑問から解消しておきましょう。
結論から言えば、「ダメ」です。
ダイエットの主な目的は、体に付いてしまった余計な「体脂肪」を落としていくことなので、例え体重が落ちたとしても、肝心の「体脂肪」が落ちていなければダイエットは失敗だと言えます。
つまり、「体重が落ちた=体脂肪が落ちた」では無いのです。
では、「食べないダイエット」で落ちた物の正体は、一体何なのでしょうか?
その答えは「水分」と「筋肉」です。
なぜ「水分」が減っていくの?
「食べないダイエット」で、主に減っていくのは「水分」です。
水分が減っていくと聞くと、「えっ?水分はきっちり摂っているのに何で減っていくの?」と不思議に思ってしまう人も居るかも知れません。
この減っていく水分の正体は、「グリコーゲンと結びついている水分」のことになります。
では、グリコーゲンとは一体何なのでしょうか?
グリコーゲンとは、「血液」「筋肉」「肝臓」に蓄えられているエネルギーのことで、ごく一般的な体型の人でも、合計で約370g〜470gのグリコーゲンが常に体内に蓄えられています。
さらに、グリコーゲン1gにつき約3g〜5gの水分と結びついているため、体内のグリコーゲンの総重量は、最大で「470g X 6倍 = 2820g」と約3kgにもなるのです。
「食べないダイエット」をしてエネルギー不足になることで、人間の体はこの蓄えていたグリコーゲンをどんどん消費してくことになります。
グリコーゲンが消費されると、グリコーゲンと結びついている水分も一緒に消費されてしまうため、結果的に「体重が落ちる」という現象が起こるのです。
つまり、「食べないダイエット」をすることで、体内では次のような起こります。
体内のグリコーゲンがエネルギーとして消費されることで、一般的な体型の人でも最大で約3kgも体重が落ちることになるのです。
では、体重が落ちたと安心して、普通に食事をとりだしたら一体どうなるでしょうか?
言うまでもありませんが、食事によりエネルギーを得ることができたので、再び体内にグリコーゲンを蓄えることになり、体重は元に戻ってしまうでしょう。
なぜ「筋肉」が落ちていくの?
「食べないダイエット」で体内のグリコーゲンが少なくなってくると、一体何が起こるのでしょうか?
体内のグリコーゲンが少なくなってくると、人間の体は「体脂肪」や「筋肉」を分解してエネルギーを作り出すことになります。
問題なのは、「体脂肪」だけでは無く「筋肉」までもが分解されてしまうことです。
実は、普通に生活しているだけでも筋肉は常に分解されているのですが、食事から十分な栄養をとることで再び新しい筋肉が作り出されています。
つまり、きちんと食事をして十分な栄養をとってさえいれば、特に何もしなくても筋肉量は維持されていくのです。
ところが、「食べないダイエット」をしていると、体内に十分な栄養が入ってきません。
結果的に、筋肉はどんどん落ちていく一方になってしまうでしょう。
そして、「筋肉」は「体脂肪」よりも重量があります。「体重が減った!」と喜んでいても、それは体脂肪では無く筋肉が落ちたことが原因かもしれません。
では、筋肉が落ちていくことで、一体どんなデメリットがあるのでしょうか?
健康的でメリハリのついた体になるためには、一定量の筋肉は絶対に必要です。
激痩せした人を見たときに「あれ?何か以前の方が魅力的だったような気がするなぁ」と感じたことはありませんか?
それは、恐らく筋肉が落ちすぎたことにより「不健康な見た目」になってしまったからでしょう。
また、筋肉が落ちてしまうことで、何もしなくてもカロリーを消費してくれる「基礎代謝」が大きく低下してしまうことになります。
結果的に、1日に消費されるカロリーが減少するため、「痩せにくくなる」や「リバウンドしやすくなる」などのデメリットを受けることになるのです。
「食べないダイエット」が失敗する【7つ】の理由
では、「食べないダイエット」が失敗する理由について、1つずつ詳細を考えていきましょう。
「食べないダイエット」が失敗する主な理由は、次のようなものになります。
【その1】体が「省エネモード」になるから
「食べないダイエット」をすることで、体にエネルギーや栄養が入ってこなくなります。
エネルギーや栄養が入ってこない状態が続けば、体はなるべくエネルギーや栄養を使わない「省エネモード」に切り替わってしまうのです。
体が「省エネモード」に切り替わるとは、一体どういう事なのでしょうか?
簡単に言えば「省エネモード」とは、脳や内臓の機能をできるだけ抑えることで、体内のエネルギーや栄養の消費を極力減らすことを意味しています。
言い換えれば、「カロリーが消費されにくい体」になってしまうのです。
カロリーが消費されにくい体になることで、どんどん痩せにくく太りやすい体質に変化していくことになるでしょう。
最初は順調に痩せたとしても、直ぐに「まったく痩せない」という状態になってしまうのです。
また、普段の生活にも悪影響が出てしまいます。
例えば、「集中力の低下」「めまい」「疲れやすくなる」「眠気が強くなる」なのです。
体が「省エネモード」になってしまえば、ダイエットは失敗すると言っても過言ではありません。
【その2】筋肉が落ちてしまうから
筋肉が落ちてしまうと、何もしなくても消費されるカロリーである「基礎代謝」が低下してしまうことになります。
基礎代謝が低下することで、同じ生活をしていても痩せにくくなるため、「食べないダイエット」によるダイエット効果はどんどん失われていくでしょう。
また、筋肉が落ちて体重が減ってしまうことで、「活動代謝」という体を動かすことで消費されるカロリーも低下するため、さらに痩せにくい体になってしまうのです。
例えば、体重50kgの人と体重40kgの人が同じ生活をしていても、体重40kgの人の方が1日に消費されるカロリーは低くなります。
ダイエットをするうえで、筋肉を落としてしまうのは大きなデメリットになるでしょう。
【その3】ストレスが大きく溜まるから
「食べないダイエット」のような極端なダイエットは、大きくストレスを体に溜め込みます。
少しのストレスなら良い緊張感を生みますが、大きなストレスになると「交感神経」を刺激しすぎるため、「自律神経」が乱れてしまう原因になるでしょう。
自律神経が乱れると、「寝付きが悪くなる」「常に不安感に襲われる」「全身がダルい」などの症状が出てくるため、体のリズムが崩れてうまくエネルギーを消費できない状態になるのです。
そんな状態が続けば、ダイエットの成功は難しいと言えます。
また、ストレスが大きく溜まった状態では、ダイエットを続けていくこと自体が困難でしょう。
直ぐにストレスに耐えきれなくなり、ダイエットをやめてしまうかもしれません。
ダイエットを成功させるためには、ストレスを溜めすぎないことが大切です。
【その4】1回の食事から多くの体脂肪を蓄えるようになるから
「食べないダイエット」をして、体に十分なエネルギーと栄養が入ってこないという事が続けば、体は「飢餓状態」になってしまいます。
体が飢餓状態になれば、脳は「生命の危機」を強く感じることになるため、次の食事からより多くの体脂肪を蓄えようとするでしょう。
つまり、以前よりも「体脂肪が付きやすい体質」に変化してしまうのです。
体脂肪が付きやすい体質になってしまえば、いくら食事の量を減らしても簡単に体脂肪が付くことになってしまうため、ダイエットの効果はどんどん下がっていくことになります。
体を飢餓状態にしないためにも、定期的にしっかりと食事をとっていく必要があるのです。
【その5】リバウンドしやすくなるから
「食べないダイエット」で痩せることができたとしても、まだ安心することはできません。
なぜなら、「食べないダイエット」が終了した直後は、リバウンドしやすくなる条件が色々と揃っているからです。
この状態のまま「食べないダイエット」を終えれば、今までの苦労がすべて嘘だったかのように、ありえないスピードでリバウンドしてしまうでしょう。
さらに悪いことに、筋肉が落ちて基礎代謝が低下しているため、ダイエット以前よりも「痩せにくく太りやすい体」になっています。
つまり、「食べないダイエット」を何度も繰り返すほど、どんどん「痩せにくく太りやすい体」になってダイエットの難易度が上がっていくのです。
【その6】便秘になるから
「食べなければ便は作られない」と勘違いしている人は多いです。
食べた物のカス以外にも、便には「水分」「腸内細菌」「剥がれた腸粘膜」が含まれているため、便は食べなくても作られます。
しかし、排便を促す「食物繊維」が十分とれていない状態では、便秘になる可能性が高いです。
そして、便秘になると太りやすくなってしまうでしょう。
便秘になると太りやすくなる直接的な原因は、肝臓のエネルギー代謝機能が低下するからです。
エネルギー代謝機能が低下すれば、結果的に体脂肪が蓄積されやすくなります。
簡単に言えば、便秘で発生した有害物質を取り除くことに肝臓が専念してしまうため、肝臓のエネルギー代謝機能が低下して、体脂肪が蓄積されやすくなるのです。
便秘の期間が長いほど、体に悪影響が出てしまいます。
便秘を解消するためにも、しっかりと食事から「食物繊維」をとることが大切です。
【その7】長く続けることができないから
当然ですが、「食べないダイエット」を長く続けていくことはできません。
完全な絶食であれば、丸1日ぐらいで限界になる人がほとんどではないでしょうか?
しかし、人間の体は1日程度ではあまり変わらないため、その後に何度も「食べないダイエット」を繰り返すことになります。
とはいえ、何度も「食べないダイエット」を繰り返すことで、「省エネモード」や「筋肉の減少」によって、少しずつ痩せにくく太りやすい体になってしまうでしょう。
そして、最終的には「不健康になったリバウンドしやすい体」だけが残ることになるのです。
ダイエットを成功させるためには、長い時間をかけてゆっくりと痩せていく必要があります。
具体的にどんなダイエットをすれば「正しく痩せられる」のか?
「食べないダイエットで落ちていくのは水分と筋肉」ということに加えて、「食べないダイエットが失敗する理由」についてお話してきました。
はっきり言って、「食べないダイエット」は間違ったダイエットであり、年齢や性別に関係なくオススメできるものではありません。
では、正しく痩せるためには、一体どんなダイエットをすれば良いのでしょうか?
正しく痩せるための「ダイエットの基本」について考えていきます。
【その1】低糖質で高タンパク質な食事をとる
ダイエットに最も効果的なのは「食事の見直し」です。
具体的には、脂肪になりやすい「糖質(炭水化物)」をとる量を減らして、代わりに脂肪になりにくい「タンパク質」をとる量を増やしていきましょう。
食事の量や摂取カロリーが同じだったとしても、糖質よりもタンパク質を食べた方が、結果的に体に脂肪が付きにくいのです。
この特徴をうまく利用していくことで、ストレスが大きく溜まりやすい「極端に食事の量を減らす」という方法をとる必要なくダイエットをしていくことができます。
また、タンパク質はダイエットの強い味方である筋肉の材料となる栄養素です。
ダイエットをすると必ず筋肉量は減少してしまうため、筋肉量を維持するためにもタンパク質をとることは効果的だと言えます。
【その2】筋トレをする
筋トレは、ダイエットをするのに決して効果的な運動ではありません。
なぜなら、筋トレは消費カロリーが少なく、短期間で脂肪を落とすのに不向きだからです。
では、なぜ筋トレをする必要があるのでしょうか?
結論から言えば、「ダイエットによる筋肉の減少を食い止めるため」です。
どんなに効果的なダイエット方法であっても、脂肪だけを狙い撃ちで落としていくことはできず、必ず一定量の筋肉も一緒に落ちていきます。
筋肉量の減少はそのまま基礎代謝の減少につながるため、結果的に1日に消費されるカロリーが少なくなってしまうのです。
つまり、何も対策をせずにダイエットを続けていると、筋肉量が減少してどんどん痩せにくい体になってしまいます。
筋肉量の減少を防ぐためにも、積極的に「筋トレ」を行って筋肉量を維持する必要があるのです。
また、筋トレをすることで、メンタルヘルスを高めるホルモンが分泌されます。
具体的には「テストステロン」「セロトニン」「ドーパミン」「β-エンドルフィン」「ノルアドレナリン」などの幸福感や自己肯定感を高めるホルモンが分泌されるのです。
つまり、筋トレという運動をするだけで、自分のモチベーションを大きく高めることができます。
モチベーションが高まることで、日々の生活が楽しくなるのはもちろん、何よりも自分のダイエットを諦めずに続けていきやすくなるでしょう。
また、筋トレの効果により自分の体に少しずつメリハリが付いてくると、「自分だってやれば出来るんだ!」という自信にもなります。
体の変化は、自分の心理に大きな影響を与えるのです。
【その3】自律神経を整える
自律神経は、「消化・吸収・代謝・循環」という体の重要な機能の調整を行っています。
自律神経を整えることで、日中に活発にエネルギーを消費して、夕方からはゆっくりと体を休ませるという「健康的なリズム」をつくり出すことが可能です。
つまり、体の健康を維持することで、自然と「痩せやすい体」になることができます。
とはいえ、何も特別難しいことをする必要はありません。日々の生活を少しだけ工夫することで、自律神経は整っていきます。
「朝日を浴びる」や「コップ1杯の水を飲む」、「就寝前にリラックスする」くらいは、習慣にさえなれば、誰でも続けていくことができますよね?
自分の体をきっちりと管理して、エネルギーが消費されやすい体をつくっていきましょう。
また、上記で最も重要なのは「7時間の睡眠をとる」ということです。
睡眠不足は、自律神経を乱す元凶だと言えます。なるべく生活の無駄を省いて「7時間」の睡眠時間を確保していきましょう。
痩せるためには「正しいダイエット」をしていくことが大切
「なるべく食べないダイエットが失敗する理由」と「どんなダイエットをすれば正しく痩せられるのか?」についてお話してきました。
正しく痩せていくためには、安易に「食べないダイエット」などの極端なものに走らずに、自分の体の健康を保ちながら行っていく「長期的なダイエット」をしていくことが大切です。
また、長期的なダイエットは、今後の人生においても「健康的な良い習慣」になるでしょう。
健康的な良い習慣を続けていくことで、ずっとダイエットが不要な体で居続けることも、決して夢ではありません。
まとめ
- 「なるべく食べない」というダイエットで痩せることができる人は、ほとんど存在しない
- 「食べないダイエット」で落ちていくのは、体脂肪では無く「水分」と「筋肉」である
- 「食べないダイエット」が失敗するのは、「体が省エネモードになるから」「筋肉が落ちてしまうから」「ストレスが大きく溜まるから」「1回の食事から多くの体脂肪を蓄えるようになるから」「リバウンドしやすくなるから」「便秘になるから」「長く続けることができないから」などの理由がある
- 正しく痩せるためのダイエットの基本には、「低糖質で高タンパク質な食事をとる」「筋トレをする」「自律神経を整える」などがある
コメント
食べないダイエット、体重の減りが目に見えるのでついやりたくなってしまいますが、いいことなしですね。
水分の減少で体重が減っていたなんて・・・
コメントありがとうございます^^
「食べないダイエット」は、ついつい、やりたくなってしまいますよね。
脂肪だけをうまく減らしたいなら、やはり少しずつ正しいダイエットをしていくしかないようです。